【すぐに使える味付けの法則】スープと調味料のおいしい関係【塩分濃度】

食べ物

私は、学生時代のレストランバイト6年間+自炊14年以上(2021現在)の経験があり、現在は食品メーカーで開発の仕事をしています。

料理を作りたい!そう思った時、最初につまずくのは 味付け(調味料の使用量)ではないでしょうか?

私も、作りなれた分量であれば目分量でなんとなくでも味付けが決まる自信がありますが、なれない量を作る場合にはやはりレシピを見ながら分量を計る必要があります。

そんな煩わしさを解消し、更には料理初心者の方の参考になればとスープの味付けについてデータを集め、法則をまとめてみました。

▶︎こんな方にオススメの記事です

  • 料理初心者の方
  • 味付けに自信が持てない方
  • レシピを毎回確認するのが面倒な方

調味料の塩分量一覧

表1.
調味料の塩分濃度
100g当たりの
塩分相当量(g)
15g5g
並塩97.314.64.9
白みそ12.41.90.6
赤みそ13.02.00.7
麦みそ10.71.60.5
豆みそ10.91.60.5
あわせみそ11.81.80.6
しょうゆ14.52.20.7
うすくちしょうゆ16.02.40.8
白しょうゆ14.22.10.7
めんつゆ
(ストレート)
3.30.50.2
めんつゆ
(3倍濃縮)
9.91.50.5
かつおだし0.1
顆粒中華だし47.57.12.4
鶏がらスープ
(素を溶いたもの)
0.8
固形コンソメ47.27.12.4
ブイヨン0.9
バター1.90.30.1
参考:食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/
味の素KK HP https://www.ajinomoto.co.jp/products/?scid=pr_ot_pc_cojphead_products
同じ味噌でも、白みそや赤みそは塩分量が多め。
しょうゆではうすくちしょうゆが10%程度塩分多めなので置き換え時に注意。

各種スープと塩分濃度をまとめてみた

所有している料理に関する書籍からスープのレシピを抽出し、表1.のデータを用いて液体部分の塩分濃度を計算しました。(ここで書籍のみに絞ったのは、お金を払って得られる情報はそれだけ精査されていて信頼性のある内容であると考えたからです。)

加熱調理による水分蒸発は勘案せず、あくまでレシピ上の配合量で計算しています。
そのため、実際の調理品は以下の塩分濃度より濃くなると考えられます。

味噌汁

味噌汁は塩分濃度0.7%程度(だし1カップ200mlにあわせみそで12g〜15g)がストライクゾーン。

豚汁のようなおかず系の場合はやや濃い目の味付けにした方が良いようです。

ここで特筆すべきは粕汁!通常の味噌汁に対して25%程度の減塩となっています。
酒粕をいれることでコクが付与され、塩分が少なくてもおいしいと感じるらしいのです!

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洋風スープ

洋風スープはプレーンなタイプが0.8%程度でした。
乳製品のコクと野菜によるボディ感が加わるためか、ポタージュは薄めの0.6%。
パンをのせて仕上げるオニオングラタンスープはやや濃い目の1.0%程度でした。

中華スープ

中華スープはシンプルなタイプが0.9〜1.0%程度でした。
肉だんごが入ったスープはだんごの下味が影響するためか、やや薄めの0.6%程度。

辛味が加わる酸辣湯はやや濃い目の1.2%程度でした。

1カップ200mlに顆粒中華だし5gが基本

うどんつゆ

麺を食べるうどんでは、同じ和風でも味噌汁よりやや高めの0.8〜0.9%
みそのコクによる効果か、みそ味はやや低め。ぶっかけは濃い目の1.1%でした。

ラーメンスープ

ラーメンスープはうどんより濃い1.2%程度
辛味が加わる坦々麺では1.46%と今回のレシピで最も高い濃度となりました。

スープ味付けの法則

ここで、大さじと小さじで計ったときの主な調味料の重量をまとめてみました。

表2.
調味料の重量と計量さじ
大さじ1小さじ1
並塩155
食塩・精製塩186
みそ186
しょうゆ186
顆粒だし7.52.5
粉末だし124
ペースト状だし155
調味料によって比重が異なるため、同じ計量器を使用しても重量が異なる点に注意!

これさえあれば味が決まる!(1カップ当たりの分量まとめ)

1カップ200mlに対する調味料の分量
  • 味噌汁:塩分濃度0.7%、和風だし使用
    みそ12〜15g(小さじ2〜大さじ1弱)
    赤みそ白みそは少なめ、小さじ2で!

  • 洋風スープ:塩分濃度0.8%
    洋風だしの素5g(顆粒小さじ2、粉末小さじ山盛り1、固形1個)
    +αは塩やバターで調整

  • 中華スープ:塩分濃度0.9〜1.0%油小さじ1/2
    中華だしの素5g(顆粒小さじ2、粉末小さじ山盛り1、ペースト小さじ1)
    +αは塩やしょうゆで調整

  • うどんつゆ:塩分濃度0.8〜0.9%和風だし使用
    しょうゆ6g(小さじ1)
  • ラーメンスープ:塩分濃度1.2%油小さじ1/2〜大さじ1
    中華だしの素2g(顆粒小さじ1弱、粉末小さじ1/2、ペースト小さじ1/2弱)
     +塩0.5g 
     +しょうゆ4g(小さじ2/3)
     +みそ4g(小さじ2/3)

これをベースに、お好みの具材やスパイスなどを合わせてアレンジをしてみてください。

塩分増減の法則

使う調味料や合わせる素材、スープの種類によって塩分濃度を増減した方が美味しくなる場合があります。

  • みそを使う場合は1割減
    特に赤みそはコク、旨味が強いので控え目に!
    オススメの赤みそを下に載せておきます。
  • ポタージュ系では2割〜2割5分減
  • 酒粕使用で2割5分減
  • だし(旨味)の濃さと塩分量は反比例
    だし濃いめの場合は塩分控え目、だし控え目の場合は塩分多め
  • 辛味が加わる場合は2割増
  • おかず系(豚汁、シチューなど)は2割〜2割5分増

※オススメの赤みそ=カクキューの八丁味噌
よくスーパーで見かける”赤だし”みそでは、お店のような赤だしの味が再現できず悩んでいたところで見つけた商品です!濃い目のかつおだしにこちらを合わせると、お店の赤だしが再現できます!

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和風だしの素の塩分に注意

市販の和風だしの素には、一般的に0.4g程度の塩分が含まれています
そのため、だしを強く効かせようと量を多くすると塩分も増やしてしまいます。

お吸い物を作る場合や、味噌の使用量を抑えたい時には一般的なもので問題ありません。
しかし、「味噌の風味を味わいたい」「だしをもっと濃厚にしたい」という方には理研の素材力がオススメです!

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【参考】辛味と塩味の感受性、塩分嗜好性の関係について

辛い料理について、レシピを見ると塩分が多めに設定されているものが多いことに対して、ネットで検索をかけると、辛味により塩味が感じやすくなるので減塩が可能という記事を多数見かけました。

この矛盾が気になったため、より詳しく調べてみました。

辛味(カプサイシン)は塩味(ナトリウム)の刺激を鈍らせる

過去の研究において、低濃度のカプサイシンでは塩味に対する影響はほとんどないことが報告されています。(Cowart,1987、Prescott et al,.1993)
また、高濃度ではどうなのか?ということで1997年の長田らの研究によると、ラットの神経において100ppmのカプサイシン(参考:タバスコ400ppm)を与えると塩味に対する反応が抑制されたという結果が報告されています。

これらの事実から、カプサイシンによる辛味によっては塩味を感じにくくなることはあれど、塩味を濃く感じさせる効果はないということがわかります。

では、なぜ辛味により塩味が感じやすくなるという記事が出ているのでしょうか?

辛味は塩分嗜好性を抑制する

辛味により減塩ができる可能性が注目されるきっかけを調べてみたところ、それは2017年にHYPERTENTION誌に掲載された論文でした。

その論文において、香辛料の嗜好性が高い人は、香辛料の苦手な人に比べて塩分摂取量と血圧が低い傾向があった。また、スパイシーな味を楽しむことで塩感受性が高まり、塩の嗜好性が低下したという報告がなされています。(Li et al,.2017)
この論文において感受性が高まったとして取り上げられていたのは、脳の第2次味覚野と呼ばれる部分であり、この部分は味の嗜好性に関わるとされています。それに対していわゆる味が濃い薄いを感じるとされている部分は第1次味覚野と呼ばれており、論文で取り上げられていたところとは別の部分でした。

つまり、辛味により塩味を感じにくくなるため辛い料理では塩味を強くする必要がある一方で、辛味により塩分が欲しくなくなる。結果として、塩分の摂取量が抑えられるということのようです。
(間違っていたらすみません…。)

まとめ

一説によるとヒトは血液と同じ塩分濃度0.9%程度が最もおいしいと感じるそうです。
また、人体にとってナトリウムは不可欠な物質であるため、塩=おいしいと感じる機能が備わっているとのこと。

私たちの祖先は、ごくわずかな塩でも探り当てる「塩センサー」として、舌を進化させた。塩分はいろいろな食べ物に含まれている。どんな味のものでも、そこにわずかでも塩が含まれていれば、とり逃す手はない。だからこそ、甘味であれうま味であれ、そこに少しでも塩分が伴っていれば、脳をより強く刺激し、「おいしい!もっと食べろ」と促す仕組みが備わったと考えられる

引用元:現代人は「塩中毒」!?人間が塩のとりこになる驚きの理由 https://www.nhk.or.jp/special/plus/articles/20191206/index.html


塩が容易に手に入るようになった現代ではついつい塩分を取りすぎになりがちで、平均的な日本人の塩分摂取量は1日当たり10g程度

1日の塩分摂取量(食塩摂取量)の基準は、男性7.5g未満女性6.5g未満とされています。(厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」)

塩分増減の法則』を上手に使って、おいしく減塩できると良いですね!

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